シェルハブ・メソッドは、発達についての手法です。
子どもの健やかな発達を見守り、後押しをします。
具体的には、まず「ぽんぽん・むぎゅう」で「体の地図」を作ります。子どもの体に「ぽんぽん」とやさしく触れ、 「むぎゅう」と握って圧を加えます。
シンプルなことですが、これによって脳がその場所の存在に気づきます。体のどこに何があり、それはどんなふうに動くのかという「体の地図」が脳の中に作られるのです。
すると脳と体の結びつきが強くなり、赤ちゃんは体を思い通りに動かせるようになるのです。
それから「環境設定」をします。子どもが自ら体を動かして関わりたくなるような「環境」を作るのです。たとえば、山と積まれた洗濯物を見たらハイハイの赤ちゃんは突進して崩そうとするし、斜めになっている板があったら、登ろうとしますよね。 そのように子どもの興味を引き、赤ちゃんが自分から体を動かして関わりたくなる場を作るのが「環境設定」です。
自分が思い通りに動かせる体と動きたくなる環境。これがあれば、子どもは楽しくなってどんどん動き始めます。
そして、子どもは楽しく動いて、たくさんのことを学び、健やかに発達していきます。
このとき、大人は赤ちゃんの行動を見守ります。こちらが期待することをしないからといって、手を出したりしません。あくまでも子どもが主導で、子どものペースを大事にし、見守るのです。ただひたすら待つ。それはもしかすると”修行”ともいえるような忍耐のいることかも知れません。 けれど、子どもたちは「自分でできたよ!」と輝く笑顔を見せてくれます。それは大人の”修行”のなによりのご褒美かもしれません。
子どもは、はじめて見聞きするものに囲まれています。知らないものばかりの世界に生まれてきて、その中で、誰が教えたわけでもないのにひとりでに動き出します。そして、頭を持ち上げ、寝返りをし、ハイハイへと進み、やがて立ち上がって歩き出すのです。 子どもは、 潜在的にすごい能力を持っています。そして自ら動き、自ら学び、人生を楽しむ。シェルハブ・メソッドは、それをサポートする手法なのです。
創始者 ハバ・シェルハブ博士
ハバ・シェルハブ博士
イスラエル生まれのハバ・シェルハブ博士(1940-)は、フェルデンクライス・メソッドの世界的指導者の一人です。ハバ博士は半世紀にわたるフェルデンクライス・メソッドの経験を元にしてシェルハブ・ソッドを創始しました。
ハバ博士は、フェルデンクライス博士の最初の弟子の1人です。イスラエルの国内外でフェルデンクライス博士のアシスタントを勤め、現在まで教育責任者として世界各地のフェルデンクライス指導者講習に携わってきました。
イスラエルにおいては、 医学系のセンター[*1]でフェルデンクライス・メソッドを伝え、現在ドイツ・フェルデンクライスセンターのセンター長もしています。また、英語やドイツ語に翻訳されている著書もあります。 アメリカのボストン大学において「フェルデンクライス・メソッドを使った脳障害のある子どもたちとの関わり[*2]」という修士論文を書き、その後ドイツのハイデルベルグ大学の博士課程[*3]で、フェルデンクライス・メソッドが学習過程やその他の子どもに関する問題に与える影響を研究しました。
そして、このような研究と長年のフェルデンクライス・メソッドの経験の中から、成人に見られる多くの問題がその人の運動発達の過程にあることを見いだしました。 そのことが発達を見守り後押しするシェルハブ・メソッドの開発につながりました。 現在は世界各地で精力的にシェルハブ・メソッド指導者の養成に取り組んでいます。
*1: Seminar Hakibbutzim, the Wingate Institute, the Asaf Harofe Medical Center’s Complementary Medicine Services, and child development centers
*2: Working with Brain Damaged Children Using the Feldenkrais Method, 1989
*3: the University of Heidelberg in the Departments of Sociology and Life Sciences
レッスンの様子
1.シェルハブ・メソッドの紹介
英語のナレーションが入っています。後日、日本語字幕の入ったものをアップする予定です。
2.ハバ先生のレッスンの様子
1)10ヶ月のお子さんとお母さんとのレッスンの様子です。シェルハブ・メソッドでは必ず親御さんと一緒にレッスンをします。最初は落ち着きのなかったヘンリー君がハバ先生によるからだへの働きかけにより次第に落ち着いてくる様子がみえます。またお母さんがヘンリー君に接する方法を学び、変えたことで、ヘンリー君は自分で試行錯誤してつかまり立ちを練習することをうながされたようです。
2)寝返りが上手にできるけれど、次の段階であるずり這いをしようとしない9ヶ月の男の子。9ヶ月はもう膝をついたハイハイをしてもよい時期です。ハバ先生は赤ちゃんが興味を持ちそうな物を使ってヒントを与えています。次に足で床を押すようにうながして、赤ちゃんの反応を待ちます。赤ちゃんは自分でいろいろ試してみて、やがて自分の足で床を押したら体が前に進みおもしろそうな物に手が届くことを理解します。楽しそうですね。